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探偵さん、本日もよろしくお願いいたします。これまで、夫の不倫調査のリアルを伺ってきましたが、W不倫というケースもありました。つまり、世の夫たちの不倫相手は必ずしも独身女性というわけではなく、人妻というケースもあるということですよね?
家族構成
夫 40代後半(自営業)
妻 40代前半(自営業)
子 中学生と小学校高学年
「その通りです。調査依頼の4割が男性からなので、女性の不倫や浮気も決して少なくはありません。ただ、多くのご主人たちは奥さんの行動を怪しみつつも、『まさか、浮気しているはずはない……』と自分に言い聞かせてしまうように感じます」
女性が不倫するときって本気といいますか。離婚する覚悟を決めている場合も少なくないと思うのです。ご主人たちが『まさか』とやり過ごしているうちに、夫婦関係の修復が難しくなるのでは?
「奥さんが家を出て行ってしまった、離婚してしまってから『男のところに行ったのではないか?』と調査依頼があることも珍しくないですね。このような場合は、やり直したいというよりも、不貞の証拠を離婚条件の話し合いの材料や慰謝料請求のために、取りたいという感じになりますね」
調査依頼の傾向にも男女差があるのですね。ほかに、特徴的な男女の違いってありますか?
「以前もお話しましたが、男性の不倫は出会いから交際に至るまでの経緯や、不倫の続け方、発覚するきっかけなどに共通したパターンが多くて、調査をする際も予測が簡単なのですね。それに比べると女性の場合は、『家族がいる時間帯に、自宅で逢瀬を重ねていた』といった、探偵もビックリな大胆行動に出ることが少なくありません」
え? 家族が在宅している時間に自宅で不倫相手と逢瀬? って。ものすごい豪邸なのでしょうか?
「いたって普通の二階建ての民家ですよ。なので、探偵もビックリしちゃうんです」
私もビックリしました。不倫以上に、その大胆を通り越した行動のほうが怖いかも……。今度、詳しく聞かせてください! ほかに、妻の不倫調査の特徴ってありますか?
「PTAや町内会、子供の習い事のコーチといった近隣の男性との不倫、というのが多いですね。保育園の送迎で顔を合わせた保護者同士ですとか、町内会の催しで親しくなってとか……」
そのような地域のコミュニティですと、相手も既婚者、つまりW不倫ということになりますよね?
「習い事のコーチは独身の若い男性というケースもありますが、そうですね。たいていW不倫になりますね。町内会も一緒、お互いの子供の保護者会も一緒というようなケースも珍しくありません」
珍しくないって……。なんということでしょう!
「今回の依頼者のご主人は夫婦でご商売を営んでいて。地域の顔役のような立場でもありました。奥さんは不倫相手と町内会のお祭りの役員で親しくなったようで。相手は公務員でしたが、お子さんの学校も同じでした」
お祭りの役員で、不倫フェスティバル……。
「町内のお祭りの打ち上げの夜に、不倫フェスティバルが始まったようです。ご主人が気づいたきっかけは、奥さんが週に1度、お休みの日に必ず外出するようになったことでした。ご商売を営んでいらっしゃるので、もともと奥さんは身だしなみやオシャレにも気を使っている方だったんですね。奥さんが急にキレイになって不倫を疑うご主人は多いのですが、このケースではそのあたりの変化は感じなかったそうです。ただ、定休日に必ず出かける」
妻が急にキレイになると、夫は不倫を疑う……、っていろいろ突っ込みたい気持ち満々なんですけれど、長くなりそうなのでまた別の機会にします。このケースの奥さんは、外出の理由などはご主人に伝えなかったのでしょうか?
「お友達に会うとか、美術館に行くとか言っていたそうです。以前から、そうやって外出することはあったそうなのですが、多くても月に2回程度。毎週というのが数か月も続くのは、さすがに何か怪しいとご主人は思うようになったのですね」
それは、怪しいですよね。
「十分、怪しいです。それでご主人は弊社に調査を依頼されたのです。外出する日がご商売のお休みの日とあらかじめ分かっているので、こういうケースでは調査するとあっさり判明します」
もちろんクロでしたか。
「車でまっすぐラブホテルに行かれました。ホテルで不倫相手と落ち合っていたんです」
なんの言い訳もできない行き先ですね。ホテルで落ち合えばバレにくいと思ったのかもしれませんが、ラブホテルに一人で入る人なんてめったにいなさそうだし……。
「そうですね。シティホテルなら部屋で2人きりになるところを押さえられない限り、『お茶をしていただけ』という言い訳もできますけどね」
そうですね。金銭的な理由もあるのでしょうが、インバウンドでビジネスホテルやシティホテルの予約も取りにくくなっているので、不倫の工作にも影響が出ているのかも知れません。
「なるほど、興味深い考察ですね。探偵としてはラブホテル使用のほうが、調査しやすいのでありがたいです」
もしかして、ご主人も不倫相手のことをご存知だったとか?
「ご主人はもちろんご存知でしたし、相手の奥さんもお子さん同士も家族全員、顔なじみでした」
ひえ~! 家族ぐるみの顔なじみ! お子さんの学校も同じだし、住まいもご近所というようなパターンですか? なんで、そんな狭い交際範囲で不倫しちゃうんでしょう。
「じつは、不倫の理由にも男女差があるんです。人妻が不倫をするときって結婚生活や夫への『不満』がきっかけになっていることが多いのですよ」
男性は余裕があると、女性は不満があると不倫をするって、前に探偵さんに教えていただいたのを覚えています! なるほど、結婚生活や夫への不満がきっかけとしてあるならば、家族ぐるみの顔なじみの相手と不倫関係になる理由もなんとなくですが、分かるような気がします。
「あと女性はバレることを恐れていないといいますか。離婚への助走として不倫をする傾向もありますね。しかし、男性はそこまでの決意を持って不倫していないので、W不倫の場合、どちらかの配偶者にバレたときにこの温度差が明るみになります」
私は離婚覚悟で不倫していたのに! 何よ! という展開になるとか?
「そういうケースもありますね」
修羅場が目に浮かびます……。町内会W不倫ですと、双方の配偶者を交えて話し合いということになるのですか? 想像するだけでも恐ろしいですが。
「我々はあくまでも依頼者の配偶者を調査する一貫として、お相手の特定をします。不貞の事実と相手はこういう人です、という調査報告をした後、そこから先をどうするか? は依頼者の方のご判断になるんですね」
ということは、依頼者の方の判断次第で、2組の夫婦が勢ぞろいして話し合うなんていう展開もあり得るわけですね。よく、人妻は離婚する気もないから、カラダだけの気楽な関係になれるとか、お互いに家庭があると不倫関係も長続きするなどと耳にしますが……。
「そういう話を鵜呑みにして、人妻と不倫をするのはリスクが高いと思いますよ。人それぞれですし、最初は軽い気持ちでも深入りしてしまうこともあるでしょうから。男性、女性に限らず配偶者が探偵に調査依頼をしたら、どんなにこっそり上手にやっているつもりでいても、不倫を隠し通すことはできません」
ほんとにその通りですね。今回のケースはどのような結末になったのですか?
「ある意味、怖い結末になりましたね」
「依頼者であるご主人は、ご依頼の時点から夫婦関係の修復を望んでいました。夫婦で自営業をされているわけですし、お子さんも小学校高学年と中学生と手のかかる年齢ではないとはいえ未成年ですから。修復したいという希望は、調査結果をご報告してからも変わりませんでした」
一般的に男性は妻の不貞を許さないといいますが、そうではないご主人もいらっしゃるということですね。
「これも人それぞれなので、一般論では語れないですね。今回のケースでは、ビジネスパートナーとしての夫婦の絆が太かった、というのもあったのだと思います。とはいえ、奥さんとしては夫婦関係に何らかの不満があったのではないでしょうか」
そうですね。ともに商売を営みながら子育てもして、という夫婦だと日々に追われるうちに「夫が女として扱ってくれない」という不満が生まれやすいのかな、と同じ女性として思いました。だからといって不倫の言い訳にはなりませんけれど。夫婦での会話がたくさんあったとしても、話題のほとんどが仕事、ときどき子供のことみたいな状況になりがちですよね。
「このご主人も『よくよく考えると、夫婦というよりも共同経営者になっていた』っておっしゃっていましたね」
共同経営者のようになってしまうのも、想像できるのですよね……。とはいえ、この奥さんの不倫相手も既婚者ですが、そちらの家庭ではバレていなかったのでしょうか?
「最終的にこのケースは、依頼者のご主人が奥さんに証拠を見せて『別れないというのであれば、先方の奥さんにも知らせる』と言って、不倫関係を清算させました。なので、不倫相手の家庭では、まだ問題化していなかったのでしょう。『夫にバレそう』ということで、あっけなく関係は終わったようです。ご主人が調査を依頼したことも、不倫相手にはいわずに別れたそうです」
不倫相手の男性は、探偵さんが調べたことをご存知ないのですね。
「もしも別れなかったり、関係が再燃したときに調査結果を使うということでしたね。ご主人としても不倫相手の家があるのと同じ地域で、ご商売をされている手前、ことを荒立てたくないというのもあったのかなと思います」
うわぁ! これは不倫相手の男性にとって「ある意味、怖い結末」ですね。ご主人は妻のかつての不倫相手と、町内会や学校関係の行事で顔を合わせる機会もあるのでしょう?
「町内の催しはもちろん、道ですれ違うこともあるそうですよ。そんなときは『俺は全部、知ってるんだぞ』と心の中で思いながら、挨拶を交わすそうです」
不倫相手の男性にしてみたら、怖いですけど。部外者からみると、このご主人の対応に、器の大きさを感じます。
「商売へのデメリットも考えてのことでしょうが、ご主人は不倫相手の奥さんが傷つくことや、お互いの子供たちへの影響も心配していらっしゃいました。同じ学校に通っているので。こうした事情を含めて自分たち夫婦の間だけで解決するのが、ベストだと判断されたのだと思います」
不倫夫のゲスなエピソードばかり伺ってきたので、余計にそう感じるのかも知れませんが……。世の中には、こんなに思いやりあふれる懐の深い男性もいるのですねえ。不倫するのではなく、夫婦関係の不満を話し合う機会を持てたらよかったですよね。
「そうですね。ただ、奥さんが不倫をしたことで、ご主人もいろいろと反省したり、気づいたりして関係者を思いやるようになったのかも知れません」
なるほど。失いそうになって初めて大切さに気付く、という心理もありますしね。う~ん、なんかモヤモヤしますね。ご主人の胸の内を思うと。この先も奥さんの不倫相手と顔を合わせるのだろうし、不倫相手の家族とも町内会や保護者会で接点を持つわけですよね? 引っ越して心機一転!といかないし。記憶喪失にでもならない限り、忘れられないです。
「ご主人がすべてを握っている、と考えると関係者の中で一番、有利な立場でもありますからね。不倫相手は公務員ですから、奥さんはもちろん、職場に知らされたりしたらって考えると……」
確かに! 「妻を寝取られた……」と被害者意識を持ち続けるのか、「お前の人生を握りつぶせる証拠を持ってるぞ」と考えるのか。この違いはかなり大きいです。それに、配偶者の不貞は離婚理由になりますが、不倫をした側である有責配偶者は離婚を申し立てることはできない。つまり、離婚の決定権は不貞された配偶者が握ることになりますものね。
「不倫夫の常套句でもある『妻とは別れる』という言葉を決して、信じてはいけない理由もそこにありますよね。不倫している側が別れたがっても、配偶者が嫌だといえば離婚はできませんから」
独身の皆様は既婚者から口説かれたときは「離婚をしてから、お付き合いしましょうね」とお断わりすることが大事ですね。そして、W不倫のリスクは想像以上に大きいぞ、ということも勉強になりました! 夫も妻も安易に不倫に走る前に、夫婦の問題や不満にちゃんと向き合うことが大事だな、とつくづく実感です。今回もありがとうございました。
※本コラムは実際のケースを元にプライバシーに配慮をした形で再構成したものであり、実在する特定の人物のエピソードではありません。
まだデータがありません。
誰かに恋をしたり、愛したり。そこには人の数だけドラマが生まれます。とはいえ、そのドラマは必ずしも素敵なもの、とは限りません。出会って恋に落ち、結婚をした二人でも、別れを迎えることもある。恋が道ならぬモノであることも、少なくありません。
私たちを取り巻く「恋愛事情」や「夫婦の関係」は時代とともに、大きく様変わりしてきました。
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