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統計を取ってはいないので、あくまでも体感的な私見ではありますが奥さんが「怪しい」と思い、調査を依頼されて実際に調べてみると、浮気以前の問題といいますか、夫婦間に根本的な秘密があることが判明するケースが、増えている印象があります。
夫の浮気(不貞行為)を、奥さんが怪しいと感じるきっかけは、帰りが遅い日や休日出勤が増えた、ということが大半です。
今回お話しするケースは、奥さんのお話を伺っている限り比較的、夫婦の会話も多く、仲がよい傾向にあるのが特徴でした。
詳しくお話を聞くと男女としてというよりも、親友のような感じの仲の良さなのです。ベテランの相談員はこの時点で、ある程度、結末が想像できてしまうのですが。
夫が結婚後に自分の性的な指向に気づいてしまう、そういうケースも少なくありませんが、今回のケースはなんと夫がゲイなのです。
同性愛者であることを相手にも伝えて、性愛的な部分は抜きにして人生のパートナーとして結婚するというケースも稀にあるのですが、そのような合意がなければ、いつかぼろが出てしまうものです。したがって調査依頼という運びになるのですね。
今回の相談者の場合は、肉体関係が一切なかったのです。交際期間中も結婚後も、一度もセックスがありませんでした。
奥さんのほうは交際したばかりの頃の彼は「すぐに手を出してこないなんて、紳士的」と思っていたそうです。紳士的な振る舞いに加えて、会話も弾むし、思いやりもあって優しいし、気の利いたデートもしてくれる。女性としては大好きになっちゃうのではないでしょうか。この奥さんもそうでした。しかし、交際3か月もすると「そろそろ?」と思いますね。
肉体関係がないことをのぞいては、このご主人は交際中からパーフェクトだったんですね。目をつぶってしまった奥さんの気持ち、わからなくもない気がしませんか。
奥さん曰く、「結婚したら、優しくいっぱい抱いてくれるはず」と期待していた部分があった、とおっしゃっていました。
でも、結婚して一緒に暮らすようになっても、一向にセックスがない。新居を選ぶときも「寝室はお互いの快眠のために別々にしよう」といわれたそうです。
加えて、コソコソとメッセージのやり取りをしたり、電話をしたり、残業や休日出勤も多い。浮気の行動様式にピッタリ当てはまっていたのでした。なので、奥さんは、こう考えたんです。「自分以外に続いている女性がいるのではないか」と。
交際中から別に付き合っている女性がいて、自分と結婚したものの、今もその女性のことのほうが好きなんじゃないかと心配されたそうです。第三者なので、同性愛を疑った方がシンプルのように感じますが、当事者だったらと想像すると奥さんの気持ちもわかります。
結局、肉体関係がないまま結婚して3年目になり、奥さんも30歳を超えて子供のことを考えるようになった、そこで、探偵に調査を依頼されたということです。
同性愛であっても、配偶者以外との肉体関係があるというのは、不貞行為には変わりませんので不倫として成立します。調査の手順も一般的な不倫となんら変わりません。ただ、事情が事情なだけに、奥さんにどうお伝えするかというのが悩みどころになりますが。
調査を開始してみると、すぐにウラがとれました。
調査結果からわかったこと
皆さんの想像通り、夫は同性愛者でハッテン場へ毎週出入りしていることが判明。しかし相手が毎回違うため、明確な不貞行為としては立証しにくい状況でした。
ただ、いずれか特定の相手ができる可能性はありますね。
結果として、私たちもありのままをお伝えするしかないので、奥さんにご報告しました。当然、ショックを受けておられました。ただ「そんな気もしていたけれど、本人に確かめるのが怖かった」ともおっしゃっていましたよ。もしかしたら、お互いにそういう気持ちで、ご主人も頑張れば奥さんと肉体関係を持つことができるのでは?と思っていたのもしれませんね。
一般的には今回のようなケースは、れっきとした離婚理由になります。もちろん、ご主人には秘密を明かさずに結婚したことに対する、慰謝料を請求することができます。
この夫が、なぜ重大な秘密を隠したまま結婚に踏み切ったのかは、最後まで謎のままでしたが、奥さんは調査結果をご報告した後は「しばらく考えます」とのことでした。
その後も、継続的に相談員のカウンセリングを受けつつ、ご自分のご両親にはもちろん、お友達にも話せないという状況はそのままのようです。
しかし、ご主人のことはとっても好きだし、愛している。だから、彼が必死に隠してきた秘密が漏れることは避けたいということになりました。
結局「調査してもらったことも、自分が知っていることも夫には知らせずに、結婚生活を続ける」という決断をされました。離婚となれば、理由を親や周囲の人に説明しなくてはならない。そうなったら、ご主人が秘密にしてきたことがバレてしまう。それに、生活を共にするパートナーとしては、ご主人以上の人はいないし、これからも出会えないだろうと。夫と性交渉を持つこと、子供をつくることを諦めさえすれば、私は幸せです、と。
探偵事務所に調査を依頼すれば「不倫や浮気をしているか、していないか」の事実が分かることは、頭では理解できます。でも、その一方で「調査をして不倫や浮気をしていることが、確定になるのも怖い」という気持ちがあることに気づく人も少なくありません。そんな複雑な思いを抱えたままでいることが、多くの人のツラさの原因になっているのです。
探偵会社に相談したくても、電話では、言葉が詰まってしまうこともあるかと思います。また、何となく怖いイメージがある方も少なくないでしょう。しかし、今はLINEで相談できる時代です。
※本コラムは実際のケースを元にプライバシーに配慮をした形で再構成したものであり、実在する特定の人物のエピソードではありません。
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