目次
家族構成
不倫夫 30代前半 会社員
妻 20代後半 会社員(育児休暇中)
1歳の子供1人
探偵さん、本日もよろしくお願いいたします。以前、調査依頼されるケースの9割の不倫夫が「会社員や公務員」で、相手は同僚や部下、取引先など仕事関係で知り合った女性だとお聞きしました。今回はそういうパターンの調査事例についてお聞かせください!
「こちらこそよろしくお願いいたします。不倫夫が会社員や公務員の場合、そもそも職場結婚をしているケースも非常に多いのですね」
恋愛も結婚も職場、さらに不倫も職場って行動範囲が狭すぎますね。
「以前もお話しましたが、不倫とはいえ当人同士にとっては“恋愛”であると同時に、段階を経て親密度が増していくのでおのずとそうなっていくのでしょうね。とはいえ、職場結婚の場合、結婚を機に奥さんが退職や転職をしていたとしても、元同僚が今も旦那さんと同じ職場にいる、ということがよくあるのです」
あり得ますよね。
「だから、職場不倫の場合、奥さんだけでなく職場の内通者からの状況証拠の提供があることも少なくないのですね。奥さんの元同僚が職場での動きを偵察できるので」
通常の倍の情報量を得られる! というか、24時間の行動が筒抜けに等しいですよね、それ。
「加えて、夫の不倫というのは驚くほどパターン化することができるのです。反対に妻が不倫している場合は、独自性があるといいますか。行動が読めないところがありますね。ひと言でいうと、不倫妻は大胆で思い切ったことを、いきなりする傾向にあります」
傾向にも男女差があるのですね。
「不倫の是非はさておき、女性の場合は夫以外の男性に体を許した時点で『夫と別れる覚悟』を決めているケースが目立ちます。一方で男性はそこまで深く考えずに、不倫関係になっていることが少なくありません。その辺りが男女差の理由なのかもしれません」
つまり、職場不倫は「調査前の情報量が豊富」になる可能性が高いことに加えて、男性の不倫がパターン化されているという特徴にも当てはまってしまうわけで……。きわめてバレやすいパターンともいえますよね?
「その通りです。夫が不倫しているとき、ほとんどの妻は夫の残業や休日出勤、出張が増えていることを怪しんでいます。家族と過ごす時間が減っているわけですから、当たり前なのですけどね」
妻が元同僚と親しくしていたら、連絡してちょっと探りをいれますね。「うちの人、最近、残業が多いのだけど、仕事が忙しいのかしら?」とね。
「そうしますよね。その段階になるころには妻の元同僚も社内不倫の気配にうすうす気づいているんです。なので、妻からの探りが入ると『やっぱりね』になる」
不倫している本人たちはバレてないと思っていても、実際にはバレバレですからね。職場に限らず学校でもそうですけど、内緒で付き合っている二人がいてもたいてい、周りの人にはバレますものね。
「元同僚が味方につくと、妻が手にできる情報量が格段に増えます。不倫相手の特定もそうですが、二人が同じ日に早く帰ったとか、同じ日に有休を取ったとか、状況証拠が積み重なっていく。このケースでも、奥さんが相談に見えた段階で、同僚から提供された不倫相手の情報もたっぷりありました」
いつ会っているか? を割り出せば探偵さんの仕事もしやすいですよね。
「デートの日を特定できれば、その日を狙って職場から不倫夫を尾行できるので、ピンポイントで調べられます」
妻の元同僚は協力してくれるものなのでしょうか?
「妻の在職中の関係性にもよるのでしょうが、職場で不倫をしているカップルがいたら、周囲の人たちも迷惑に感じたり、不快に思ったりしていることがあるのでしょうね。とくに、妻とかつて同僚だったら、なおさらいい気はしないので協力を得られているケースが多いように感じます」
具体的にはどのような情報がもたらされるのですか?
「今回のケースでは、不倫相手の特定はもちろんですが、二人が会っていたであろう日時はほぼ、確実に手にできました。『会社の飲み会がある』と言っていたのに実際には、そんな飲み会はなかったことなどは妻に筒抜けですから。職場と家庭、両方にアリバイがない日を簡単に割り出せちゃいます」
こういうとき、女性同士って一致団結して行動力を発揮するのですよね。
「女性は観察眼も鋭いですしね。このケースの夫婦は、結婚を機に奥さんは別のグループ企業に転籍して、夫が不倫していた頃は育児休暇中でした」
もしかして、妻の妊娠中にというパターンですか?
「調査したところ、不倫が始まったのは出産後からでしたね」
うわっ! ゲスオですね~。「妻が育児にかかりきりになって、寂しかった」みたいな言い訳が聞こえてきそう……。
「それ、アタリです!」
当たってもちっとも嬉しくないです。というか、何なんですか? 寂しかったら不倫してもいいんですか? 寂しいなら育児に参加しろよ!って、スミマセン。興奮してしまいました。このようにあっさり正解してしまうのが、先ほど探偵さんがおっしゃっていた「男性の不倫のパターン化」というやつですね。
「まさにその通りです。パターン化されている不倫夫の調査は先が読めるので、探偵としてはやりやすいんです」
ゲスオたちにはヒミツにしておきたい情報ですね。
「不倫相手も特定しているけれど、不倫の証拠が欲しいということでの調査依頼でした。不倫相手は夫の職場の派遣社員の独身女性。奥さんが転籍した後に入ってきた人なので、面識はなかった。ただ、奥さんのことをよく知る元同僚とも同じ部署だったわけです」
不倫相手はともかく、不倫夫は妻の元同僚が同じ部署にいること、分かっていたはずでは?
「分かっていましたよ」
そういうところが理解に苦しむのですが……。不倫夫ってどうしてこう脇が甘いのでしょうか? 夫婦の共通の知り合いがいるところでわざわざ不倫しなくても、って思います。
「第三者から見るとその通りなのですが、当人同士は“恋しちゃってる”状態。周囲があまり見えてないので『バレない』『大丈夫』って思うんですよね。それにね、不倫相手が妻の知り合いというケースも少なくないんですよ」
えええ! 人間不信になりそうですね。ロミオとジュリエットじゃないですけれど「禁断の関係」めいたところもまた、燃え上がる要素なのかも知れませんね。
「少なからずあるでしょうね。このケースの場合、職場と家庭からの状況証拠が充実していたこともあって、調査はあっという間に終わりましたが、奥さんのほうが精神的に参ってしまって。奥さんの親御さんの知るところになり、大ごとになりました」
「依頼者である奥さんに調査報告のときはもちろん、そのあとのことも私どもは奥さんの精神状態には気を配っているのですが……。奥さんは相当なショックを受けておられて。日を追うごとに育児にも支障をきたすようになってしまったんです」
調査報告をしたら探偵さんのお仕事は終了なのかと思っていました。なぜ、後日のことをご存知なのですか?
「弊社の相談員は離婚カウンセラーの資格を持っているのですが、ご依頼いただいた方のカウンセリングも含んだ調査プランになっているのです。調査することはゴールではない。調査資料を使ってどうするか? がとても大事だからです」
不倫相手と別れさせて夫婦関係を修復するのか、離婚をするのか。どちらの道を選ぶにしても、精神的に堪えます……。まさに正念場ですよね。カウンセリングを受けられるのは心強いです。
「実際、調査よりもカウンセリングのほうが重要だと感じています。このケースの奥様は、ひどく落ち込んで家事も育児もできなくなってしまった。もちろん、カウンセリングも受けていたのですが、日常が回らなくなっていたわけです。そんな奥さんをみかねて、なんとご主人が奥さんのお母様に『妻が育児ノイローゼ気味かもしれない』と連絡して助けを求めたんです」
ということは、奥さんは不倫調査や報告内容をご主人に話していなかったのですか?
「そうなんです。どうしようかと悩んで、精神的に落ち込んでしまったのでしょう。ご主人から連絡を受けて、遠方のご実家からお母様が飛んできて、娘の状態を見て『ただの育児疲れじゃない』と直感して。当然、娘に何があったのかを聞きますよね。お母様に打ち明けたら、その翌日にはお母様から話を聞いたお父様もすっ飛んできた」
娘と孫を思えば当然の反応ですよね。
「当然の反応なんですが……。じつは、不倫された側の配偶者の親御さんを巻き込むと、夫婦の関係修復が難しくなるんです。わが子がかわいいですから『そんな夫とはすぐに離婚しなさい!』になっちゃう」
なるほど。でも、奥さんとしては証拠を手にしても夫と対峙することすら迷っていたんですよね? それって、夫婦の関係を修復したいという思いがあったからじゃないかな? と感じるんです。「迷わず、離婚一択」という決断ができていたら、精神的に不安定になるほど悩まないだろうから。なので、親とはいえ第三者が「離婚しなさい!」というのはどうなんだろう? って気になります。
「まさしく、その通りなのです。本人の気持ち不在で話が離婚に向けて進んでしまう恐れがあるんです。一般的な傾向ですが、相談の段階で『親に心配をかけたくない』っておっしゃる方はすごく多いのですね。心配かけたくない、という気持ちがすごく強い。そんな存在である親が『別れなさい!』ってなったら、別れる方向に進みますよね」
良くも悪くも、親の影響力って大きいですからね。それに、当事者である奥さんは精神的ダメージを受けているので判断力も落ちているだろうし。
「夫にしてみたら、妻が育児で疲れているのかと思って義理の母親に連絡をして来てもらったら、その翌日には義父まで来ていて。仕事から帰宅するなり、妻の両親から責められるわけです」
いい気味ですけどね。
「ふふふ。なかなか辛口ですね。まあ、いい気味なんですけど、夫婦の関係修復が難しくなるのも事実で。夫の立場になると『なぜ、最初に俺に言わないのか?』って思いませんか?」
確かに、そうですね。離婚だ、不倫だに限らず結婚生活において、双方の親が出てくるタイミングってとても大事だと思うんです。夫婦で話し合ってから、お互いに合意したうえで双方の親を巻き込むというプロセスをきちんと踏むことは大事なのかな、と思います。
「そうですね。このケースではお母様がそういう風に『家事や育児は助けるから。まずは夫婦でちゃんと話し合いなさい』という風に差し向けてあげられたら、結果は違っていたのかなという印象があります」
ということは、離婚という結末になったのですか?
「そうです。離婚して奥さんはお子さんとご実家に戻ったと聞きました。不倫期間も半年ぐらいでしたし、お子さんもまだ小さいので対処の仕方によっては離婚せずにやり直せたのかな、という印象だったんですけどね」
奥さんが「離婚して良かった!」って思っているならいいのですが……。お話を伺っているだけでも、離婚したことを後悔しそうな展開です。奥さんがご実家に戻ったのなら、育児休暇中の仕事も退職したのですよね?
「そうなりますね」
だとしたら、このご主人、職場でも無傷ではいられないですよね? 離婚して奥さんが退職したことは職場の人たちに知られてしまいますし。いろいろと“スパイ”してくれた奥さんの元同僚もいるわけで。
「ご主人も退職に追い込まれたようですよ」
職場不倫のせいで退職したのですか?
「職場から不倫をとがめられて、ということではなかったようです。いろいろとウワサになって職場に居づらくなったご主人が、自主的に退職したらしいです。不倫相手の派遣社員の方はそのころにはもう、会社にはいなかったようですけれど」
「不倫は誰も幸せにならない」という言葉を象徴するような結末ですね。まさか、こんなことになるとは! ってこの不倫夫は思っているでしょうが……。そもそも、奥さんの元同僚がいる職場で不倫して、隠し通せるはずがないのに。
「冷静に考えるとそうなのですが、実際には大半が仕事で知り合った相手との不倫なんですよね。結婚式に新婦友人で招かれていた女性が夫の不倫相手だった、というケースもありますよ」
そうなんですか!? CiaoLabは「不倫はいけません!」と声高に叫ぶのではなく「なぜ夫婦で向き合うことをせずに、不倫という選択をするのか、したのか?」というところが重要だと考えているのです。恋人同士の浮気も同じですね。不倫や浮気によって、傷つく人がいるということが問題だと考えています。そして、自分にとって幸せな解決方法を見いだすことができるように、悩める方々のお役に立ちたいと願っています。そのための情報発信に努めて参りますので、またお話を聞かせてください!今回もありがとうございました。
※本コラムは実際のケースを元にプライバシーに配慮をした形で再構成したものであり、実在する特定の人物のエピソードではありません。
誰かに恋をしたり、愛したり。そこには人の数だけドラマが生まれます。とはいえ、そのドラマは必ずしも素敵なもの、とは限りません。出会って恋に落ち、結婚をした二人でも、別れを迎えることもある。恋が道ならぬモノであることも、少なくありません。
私たちを取り巻く「恋愛事情」や「夫婦の関係」は時代とともに、大きく様変わりしてきました。
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